私は、ぼんやりと銀時を見つめた。銀時は知らない女の人と抱き合ったまま、笑う。その女の人は、とても綺麗で可愛くて、私なんか足元にも及ばないくらいの人だった。 「どういうこと」 とりあえず聞いておいた方がいいかなと思って、私はそう銀時に問うた。正直、もうどうだってよかった。銀時が 浮気してようが、私を好きでなかろうが、どうだっていい。私は銀時が好きで、ただそれだけ。こんな浮気現場を見るのも、もうこれで何回目だろうか。 「ごめんな、、ちょっとさァ、こいつにつけ込まれてて」 何をつけ込まれているんだろう。まあ、そんなことは嘘に決まっているからどうでもいいのだけれど。銀時はその女の人の耳元で、何か呟く。すると、その女の人は笑って、万事屋を出て行った。 「ごめん、、怒るなって」 「別に怒ってないよ」 私は本当に怒ってなどいなかった。ああ、もうぜんぶどうでもよくなってきた。もう何もかもがどうでもいい。どうせ 銀時は私のことなんて、一生好きになってくれないんだから。 「銀時」 「ん?」 「別れよっか」 私が無表情でぽつりと呟く。この科白を言うのも、何度目だろうか。銀時はやっぱりな、という目をして、私に手を伸ばす。 「んなこと言うなよ。俺はお前のこと好きなんだけど」 「私は別に好きじゃないよ」 「でも俺は好きだ」 きっと、銀時は知っているんだろう。私はどうしようもなく銀時のことが好きだということを。だから、それを見透かしたように銀時はいつも言うんだ。私のことが好きだって。そんなこと、これぽっちも思ってないくせに。 そして銀時はわかってるんだ。私が必ず許すということを。 「な?だから、別れるとかいうなよ」 銀時の手が、私の頬に触れる。そのまま、私の唇に銀時のそれが押し付けられる。甘い香りがした。銀時の匂いじゃないから、この匂いは多分、さっきの、 「あいつにはつけ込まれてたんだって。もう会わねーよ」 「そう」 私が笑うと、銀時も笑う。何度目だろう。もう、ずっと繰り返されてきた光景だった。 もう、どうでもいい。 「は、何も考えなくていいんだよ、 俺のこと以外、さ。」 また、銀時が笑う。それは、私を心の底から面白がっているような、そんな笑みだった。 meaningless toy. 銀時が私を繋ぎ止めておこうとするのは、ただ単にそれが面白いだけ。私の嫉妬する姿を見るのが、面白いだけ。私は銀時の、無意味な玩具に過ぎない。 ( そう、私は銀時の玩具なんだ。 ) |