「でねでね、今からデートなの!」 そう言って、が幸せそうに笑う。今から彼氏とデート、らしい。勿論、彼氏は俺じゃない。あの、瞳孔の開き切ったマヨラー野郎だ。自分があいつなんかに負けたと思うと、かなり苛々した。 「あのマヨラーのこと、どれぐらい好きなの?」 俺がそう問うと、はさっきよりも満面の笑みを受けて笑った。 うーんとね、言い表せないくらい! この場から消えたくなった。俺なんか、消えてしまえばいいと。 「あのねー、この前学校の帰りにね、私すごい荷物だったんだけど、それをさりげなく持ってくれてねえ、すんごい嬉しかったんだ!トシのそういうやさしいところ、大好きなの」 耳を塞ぎたかった。目を瞑りたかった。消えてしまいたかった。消え入ってしまいたかった。 「じゃあ、もう行くね。私の惚気聴いてくれてありがと、せんせ!」 なあ、行くなよ、 俺だって、お前のこと好きなんだよ、 好きすぎて苦しいぐらい、好きなんだよ。 行くな行くな行くな、 好きなんだよ、 「土方なんかより、好きなんだよ、お前のこと、 好きすぎて、どうしようもねーんだよ…」 そう呟いた頃には、あいつの、の姿は教室から消えていた。ただ、そこにはの残像だけがあった。 『ありがと、せんせ!』 なんで行っちまったんだよ、 、 「好き、なんだよ、 もう、どーしよう、も、 ねー、くらい、 」 この声が聴こえればいい。 この声がお前に聞こえて、そんで、お前が戻ってきてくれればいい。(叶わない願い) title by 碧(http://heki.xxxxxxxx.jp/ ) |