意識がぼんやりとしていた。目の前には、真っ白な天井が広がっている。
目線をわずかに左へ逸らすと、そこには銀ちゃんのぐしゃぐしゃに崩れた顔があった。




なんで泣いてるの。




「俺さ…結局お前のこと、幸せにしてやれなかったよな…」


そんなことないよ。
私は幸せだったよ。ずっとずっと、そしてこれからもきっと。




ぽたり、銀ちゃんの涙が私の頬に落ちる。私が銀ちゃんの顔に手を伸ばして、そっと頬に触れた。私の手に、銀ちゃんの左手が重なる。
なんで私は喋れないんだろう。ちゃんと銀ちゃんにありがとうって言いたかったのに。


私が必死に口を開いて言葉を発しようとするけど、口からはむなしく空気が漏れるだけだった。悔しい、




「もういいから、無理すんな」


無理なんかじゃなくて、言いたいの。銀ちゃんにありがとうって言いたいだけなのに。それさえも言えない、自分が悔しくて、情けない。





「ぎ…ちゃ、…ありが、と、う、」





ありがとう。
好きと言うよりも、お礼が言いたかった。


銀ちゃん、銀ちゃん。 ありがとう。






いつもそばにいてくれてありがとう。
いつも私を守ってくれてありがとう。


いつも一緒に笑ってくれてありがとう。




ありがとう
ありがとう


――――ありがとう。




私がゆっくりと目をつむると、銀ちゃんが泣きながら言った。






「俺の方こそ…
ありがとな、…」





好き よりも ありがとう
ねえ、銀ちゃん。私がいなくなっても、また笑ってね