「せんせい、」


空が橙色に染まっていた。辺りは閑静としていて、遠くから野球部か何かのかけ声が聞こえる。
目の前には、が、寂しそうに微笑っていた。俺は今までの楽しそうな笑顔しか見たことがなかったが、今はこれでもかと言うくらい寂しそうな微笑を彼女は浮かべていた。




「何?なんかあったわけ?」


「わたしね、
転校することになったの」


また、微笑う。
それが無性に苛々して、俺は目を反らした。悲しいなら、悲しいに適した表情をすればいいのに、なぜこいつは笑うのか。




「そう、か、」
「ありがとう。先生にはお世話になりっぱなしだったよね」
「そーだな」
「先生」
「あ?」
「元気でね」






橙色の空が、黒くなっていく。空を背景にしたの姿は、とても綺麗だった。
やがて、のすぐ後ろにある窓の向こうの空に、星が見え始める。


「ほんとに、ありがとう」
「おー。こっちこそ、」




ふわり、教室に風が舞い込む。の長い髪がなびく。





「ありがと、な」





俺がそう告げると、 また、彼女は寂しそうに微笑った。









違う、

(俺は、こんなこと言うつもりじゃなかったのに。)
(ただ、お前に好きって伝えたかった。)