あいつに俺がふさわしくないということは、あの日からわかりきっていたことだった。 俺は教師で、いつどうなるかわからない身で、そんな不安定の生活の中で生きている。だけどあいつは違う。あいつには大きな未来が広がっていて、何よりあいつには強い希望があったんだ。 「私、将来弁護士になるのが夢なの、」 にこり、と笑うあいつを見て、俺は切なくなった。そんなちゃんとした夢あんなら、俺とこんなことしてる場合じゃねーんじゃねーの。俺が言うと、はさらに笑って、「どうして?」と聞いた。 こいつは何もわかってないんだ。 俺がどんなに廃れた人間なのかも、自分がどんなに未来のある人間なのかも。 なんにもわかっちゃいない。だから、 「私は銀ちゃんが好き、だから銀ちゃんと一緒にいる。それの何がだめなの?」 だからそんなことが言えるんだ。 「なあ、、」 「ん?」 「別れっか」 自分勝手かも知れない。いや、俺は自分勝手すぎる自己中野郎だ。 だから、俺のことなんか忘れてくれてもいい。 いや、忘れて欲しいんだ。俺のことなんて、忘れてくれ。 忘れてくれ、頼むから、 「俺のことは忘れろ」 俺のことなんて、忘れてくれればいい。 何もかも。 俺と一緒にいた時間、あったこと、すべて。 何もかも、忘れて。 それが俺の最後のわがままな願いだ。 だからどうか、 忘れてくれればいい。 そのほうがいい。俺にとっても、そして、お前にとっても。 |